甲状腺機能低下症

犬の甲状腺機能低下症 – アンフィニ村上動物病院

🏥 甲状腺機能低下症とは

🦋
体の「エンジン調整装置」の故障

甲状腺機能低下症は、首にある小さな蝶々の形をした「甲状腺」という臓器が十分なホルモンを作れなくなる病気です。

甲状腺ホルモンは体全体の「エンジンの調整装置」のような役割を果たしており、これが不足すると体のあらゆる機能がスローダウンしてしまいます。

どんな影響があるの?
代謝の低下 → 皮膚・被毛のトラブル → 活動量の減少 → 体重増加 → 寒がりになる
管理可能
適切な治療で正常生活
生涯治療
毎日の投薬が必要
早期発見
症状の見極めが重要
良好な予後
治療により改善可能

⚙️ 正常なシステムの精密な仕組み

体のエンジン調整システム – 正常な動作
🧠
視床下部・脳下垂体
中央制御室
TRH・TSH分泌
🦋
甲状腺
ホルモン製造工場
T3・T4を血中に放出
全身の細胞
代謝エンジン
酸素消費・熱産生

🔧 システム故障の詳細パターン

何が壊れて、どう影響するのか
🏭
1次性(原発性)甲状腺機能低下症
90%の症例
🎯 故障箇所:甲状腺そのもの(工場の機械が壊れた状態)
🔬 主な原因:
• リンパ球性甲状腺炎(50%)- 免疫系が甲状腺を攻撃
• 甲状腺萎縮 – 甲状腺組織が徐々に縮小
• 甲状腺腫瘍(稀)
📊 検査で分かること:
• TSH: ↑↑ 異常高値(脳が「もっと作れ!」と必死に指令)
• T4/FT4: ↓↓ 異常低値(工場が動かないので製品なし)
• 甲状腺自己抗体: 陽性(免疫攻撃の証拠)
🧠
2次性(続発性)甲状腺機能低下症
10%の症例
🎯 故障箇所:脳下垂体(司令塔が壊れた状態)
🔬 主な原因:
• 下垂体腫瘍 – 良性・悪性腫瘍
• 外傷・手術 – 物理的損傷
• 先天性異常 – 生まれつきの発達不全
• 薬物影響 – ステロイド等
📊 検査で分かること:
• TSH: ↓↓ 異常低値(司令塔が沈黙)
• T4/FT4: ↓↓ 異常低値(指令が来ないので生産停止)
• 画像検査: 下垂体の形態異常
🔍 どちらの故障かを見分ける方法
1次性の特徴
TSH ↑ + T4 ↓
「脳が甲状腺に必死に指令を出している状態」
2次性の特徴
TSH ↓ + T4 ↓
「脳からの指令自体が出ていない状態」

📋 主要症状(頻度順)

🔴
皮膚・被毛症状
88%
対称性脱毛、皮膚炎、被毛の質の変化
😴
活動性低下
49%
元気消失、疲れやすさ、運動不耐性
⚖️
体重増加
48%
食欲変化なしでの体重増加、代謝低下
🧊
寒がり・徐脈
12%
体温調節障害、心拍数低下

🔍💊 診断から治療まで

🩸
血液検査
甲状腺ホルモンと調節ホルモンの測定
測定項目:T4・FT4・TSH
除外:他疾患による影響
🎯
診断確定
検査結果と症状から総合判断
1次性:TSH↑ T4↓
2次性:TSH↓ T4↓
💊
ホルモン補充
レボチロキシンによる不足分の補充
用量:20μg/kg/日
投与:朝の空腹時
📊
継続管理
定期検査による用量調整と症状モニタリング
検査:6ヶ月毎
目標:T4 2.0-5.0μg/dL

✅ 治療成功例

🐕 アメリカン・コッカー・スパニエル(10歳)の劇的改善
治療前
  • 活動性著しく低下
  • 慢性皮膚炎
  • 徐脈(98回/分)
  • T4: <0.47μg/dL
  • TSH: 2.45ng/mL
1ヶ月後
  • 活動性回復
  • 皮膚状態改善
  • 心拍数正常化
  • T4: 正常範囲
  • 生活の質向上
適切な診断と治療により短期間で劇的な改善を実現

⚠️ 治療成功の重要ポイント

⚠️
絶対に押さえるべき4つのポイント
早期発見
皮膚症状と活動性低下を見逃さない
空腹時投薬
食事1時間前または4時間後の厳守
定期検査
6ヶ月毎の血液検査で用量調整
生涯継続
治療中断は症状再発の原因