診療案内


病気を特定するための様々な検査方法やそれに対する最善の治療法はありますが、
現実的には動物が話すことができないことや動物の性格、治療費、病院設備、
病院との距離、時間、飼い主さまの仕事の状況や病気に対する考え方など、
様々な要因で理想の獣医療をできないことも多々あります。
それらの理由を言い訳にするのではなく、現状で実現できることを模索し、できる限り負担の少ない必要な検査や最大限の治療を適正な治療費で行うことを目指します。


飼育環境やペットの状態によって適切な予防プランを提供します。
各種混合ワクチン接種や狂犬病予防接種、フィラリア症予防、ノミ・マダニ予防などが対象になります。


生まれたすぐの赤ちゃんは、お母さんの初乳(出産後48時間以内の母乳)を飲むことで免疫抗体(移行抗体)をお母さんからもらい、しばらくの間感染症から身体を守ってくれます。
しかし、このもらった免疫抗体は時間と共に効果がなく
なっていくため、発症リスクが上がり、症状も重症化しやすくなります。
また、免疫抗体の量は初乳の飲む量に左右されるため、複数回ワクチンを接種する必要があります。
一般的には初回は6ヶ月齢半に接種し、そこから約1ヶ月毎に2回目、3回目と接種します。
当院では年齢に合わせて、ワクチンの回数を決めています。


狂犬病ワクチン

狂犬病はすべての哺乳類が感染する病気で、感染するとほぼ100%死亡する感染症です日本は数少ない清浄国となっていますが、世界のほとんどの地域ではいまだに発生しています。
日本では狂犬病予防法により生後90日経過した犬は1年に1回の接種が法律で義務付けられており、怠った場合は罰則の対象となることもあります。
国内では長らく発症が見られない感染症でありますが、他国では清浄国でも狂犬病の発症が報告されたこともございます。飼っている犬や飼い主様自身、または動物を飼ってない人を含めた社会全体のためにも正しい知識を持って予防を行うことが重要です。

犬の混合ワクチン

主に犬に感染する感染症を予防するワクチンになります。
当院では6種と10種を取り扱っており、レプトスピラ感染症は人獣共通感染症であり、人にも感染する感染症です。

幼少期に、2~3回接種し、その後1年に1回ワクチンを打つことでこれらの感染症を予防して行きます。
どのワクチンを接種する必要があるかは生活環境によって変わるので飼い主様とご相談の上、決めさせていただきます。
ただし、ワクチン接種は100%安全に行えるわけではありませんので、持病を持っているなど予防接種に危険を伴う場合やワクチンアレルギーの危険性を考える場合はワクチン抗体価のチェックを行うこともできます。

※ワクチン抗体価検査は犬ジステンパーウイルス感染症、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎に対する抗体価を測定し、
各感染症に対する発症防御能を評価します。
※稀ではありますがワクチン接種後に重度のアレルギー反応(嘔吐、下痢、顔面の腫れ、呼吸困難)を起こす場合があります。
その際はすぐにご連絡ください。

6種ワクチン:
ジステンパー、パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎、犬パラインフルエンザウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症、犬アデノウイルス感染症

10種ワクチン:
6種ワクチン
レプトスピラ感染症(カニコーラ型、イクテロヘモラジー型、グリッポチフォーサ型、ポモナ型)


猫の混合ワクチン

主に猫に感染する感染症を予防するワクチンになります。
当院では3種と5種、猫免疫不全ウイルスワクチンを取り扱っております。

幼少期に、2~3回接種し、その後1年に1回ワクチンを打つことでこれらの感染症を予防して行きます。
どのワクチンを接種する必要があるかは生活環境によって変わるので飼い主様とご相談の上、決めさせていただきます。
外に出ない猫ちゃんにも感染・発症することがありますので、室内飼いの猫ちゃんにもワクチン接種を推奨しております。

※稀ではありますがワクチン接種後に重度のアレルギー反応(嘔吐、下痢、顔面の腫れ、呼吸困難)を起こす場合があります。
その際はすぐにご連絡ください。
※接種部位に接種後、1カ月以上しこりがのこる場合があります。その際は一度ご相談下さい。

3種ワクチン:
猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)猫カリシウイルス感染症猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)

5種ワクチン:
3種ワクチン
猫クラミジア感染症、猫白血病ウイルス感染症

猫免疫不全ウイルスワクチン:
猫免疫不全ウイルス(エイズ〔FIV〕


フィラリア

フィラリア症は、犬糸状虫という寄生虫が心臓や肺に寄生する恐ろしい病気です。
犬だけでなく猫も感染し、それぞれの動物にとって深刻な健康被害をもたらします。

【犬の場合】
フィラリア症に感染した犬は、咳、呼吸困難、疲れやすさ、食欲不振、体重減少、貧血などの症状が現れます。さらに進行すると、肝臓や腎臓にも異常をきたし、命に関わるケースも少なくありません。

【猫の場合】
猫は犬よりもフィラリア症に感染しにくいですが、一度感染すると重症化しやすい傾向があります。
咳・呼吸困難・嘔吐・下痢などの症状に加え、肝臓や腎臓にも異常をきたします。

ノミ・マダニ

ノミに感染すると、貧血・消化管内寄生虫の感染・ノミアレルギーなどの症状が出て、
子猫などでは命に関わることもあります。
感染のピークは梅雨の時期から夏になり、室内温度が13度を超えていると冬でも活動することが可能です。

マダニに感染すると、重篤な貧血を引き起こすバベシア症や猫ネモバルトネラ症などや、人にも感染し高い致死率であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)など深刻な病気を媒介します。感染のピークは梅雨時と秋の2回ですが、1年中生息しています。

予防が重要

フィラリア症、ノミやマダニは、予防することで防ぐことができる病気です。
投与方法や頻度は使用する予防薬で変わります。

当院ではそれぞれの動物たちに合った予防薬をご提案しております。

「引用:全国犬のフィラリア 感染期間の目安|関東甲信地方(https://filaria.jp/html/hdu/kanto/index.html)」


不妊手術(避妊、去勢)を受けている犬は、そうでない犬よりも寿命が長かった。

J Am Anim Hosp Assoc.  May/Jun 2019;55(3):130-137.

何が寿命に関連するかを調べるために、約237万頭の犬を調査した研究が発表されております。
あくまで数多くある研究の中の一つであり、この結果が全て真実とは限りませんが、一般的に元になるデータが大きければ、
その研究の結果も信頼度が増すと言われているため、調査頭数が237万頭であるこの研究もかなり参考になるかと思います。

ただし一度手術をしてしまうと二度と子供を作ることができません。
家族の一員であるわんちゃん・ねこちゃんをどのように育てて暮らしていくかをふまえたうえで、
慎重に検討し、不妊手術するかどうか選択することが大事だと思います。

また、当院では半導体レーザーを用いて、極力生体内に糸を残さないように、
より迅速かつ安全な手術を心がけております。


去勢手術

当院では精巣の摘出を実施します。手術を行うことでマーキング行動や攻撃性を抑制し、
性ホルモンに関連した病気の発症リスクを減らす事ができます。
但し、体重増加や一部で尿失禁のリスクがわずかにあります。

会陰ヘルニア前立腺肥大肛門周囲腺腫精巣腫瘍など発症を予防

避妊手術

当院では卵巣と子宮の摘出を実施します。
手術を行うことで発情による行動変化やマーキング行動を抑え、性ホルモンに関連した病気の発症リスクを減らす事ができます。
特に乳腺腫瘍の発生率について、犬では2回目発情以降の避妊で4頭に1頭が発症するとされているのに対して、初回発情前に避妊すると200頭に1頭、
初回発情後でも2回目発情前に避妊すると10頭に1頭に減らせる事が報告されています。
猫でも1歳以下で避妊手術することで乳腺腫瘍の発生率をおよそ85〜90%に減らす事ができます。
また、猫の乳腺腫瘍の99%は悪性である可能性が高いため、より予防手術の重要性が高まります。
但し、体重増加や一部で尿失禁のリスクがわずかにあります。

乳腺腫瘍、卵巣・子宮疾患(卵巣腫瘍、子宮腫瘍、膣腫瘍、子宮蓄膿症など)の発症を予防